レゾンデートル考察

 2023.8.31に公開されたValkyrieのクライマックスイベント「語る人形とレゾンデートル」を読んで(気づいたら2025.1.28まで温めてた)、個人的に気になったことの記録。

目次

同居について

みかの心情

「モーメント・未来へ進む返礼祭 Tragedy/第五話」より
「モーメント・未来へ進む返礼祭 Tragedy/第六話」より

 「迷惑」や「効率」など、ズ!!の発言ではみかの現実的でしっかりした一面が目立つ。変化(成長)して周りをよく見るようになったのか、それとも宗に対して過度に盲目的だった部分が落ち着き、もともとの性格が現れているのか。ある意味一緒にユニットをやっていくことについて、より長い目で考えられるようになったのではとも感じる。

宗の心情

「モーメント・未来へ進む返礼祭 人間喜劇 Tragedy/第五話」より

 ズ!の時はついて行くと言うみかに対し、冷静に現実を突きつけ自立を促している様子である。しかし、ズ!!では、同居話の伏線とも言えるような、寂しがる言動もよく見られるように。ただ、過去の出来事から自分の独占欲に後ろめたさを感じているのが足枷になっており、「レゾンデートル」では、みかに自由な人生を歩ませなければという義務感にも似た思いと葛藤する描写が多く見られた。難儀である。

まとめ

 一緒に住みたがったみか・現実的な宗という構図が、実際に別居生活をした約1年間を経て逆転しているのが面白い。盲目的だった師弟関係が変化する中で、みかは故郷ではみか兄であり、宗は家族の中では末っ子だったこと思い出させてくれるようなエピソードの1つだった。

「地獄」が指すもの

「モーメント*未来へ進む返礼祭 人間喜劇 エピローグ①」より
「レゾンデートル 名無しの少女/第七話」より

 返礼祭では、「地獄」が比喩のような意味合いで使われているが、クライマックスイベント「レゾンデートル」ではそこから進んで、本来の意味での「地獄」について言及しているのが面白い。それぞれ前者は宗が、後者はみかが話題を振っているという違いはあるが、これでどちらについても両者同意済みということになる。それにしても、みんながみんな○んだら地獄行きだと思ってるの、さすが(?)あんさんぶるスターズである。

宗の女性性について

「モーメント*未来へ進む返礼祭 Humanity/第八話」より
「レゾンデートル エピローグ①」より

 祖父と同じように、宗も自分の中の女性性(や、周りにつけ込まれないために普段は隠している本心)をマドモアゼルという人形に託していると解釈できる。(ただし祖父の場合は、それが女装した自分自身であったという違いはある。)
 宗自身がストーリーの中で「僕にそっくり」「そういう解釈をしている」と主観的に述べているのが、この解釈により説得力を与えている気がする。

みかの犯罪未遂について

「吸血鬼と墓穴」より
「レゾンデートル 名無しの少女/第九話」より

 「吸血鬼と墓穴」は、公開された際大変物議をかもした(し、私もちょっと悲しいなと思った)ストーリーだ。みかが、宗のためとは言え、友人の死体(と勘違いしていた)を土に埋めるという犯罪を犯すなんて、そんなことするはずない、と。
 しかしレゾンデートルを読んで、恐ろしいことに先のアイドルストーリーは伏線とすら感じてしまうこととなった。今度は、宗のために人知れず墓を掘り返そうとしていたのだ。結局こちらも未遂で終わっているが、肝心なのは彼は宗のためなら犯罪も厭わないことが2種のストーリーを通じて明言されたということである。
 怖いのは、これまで述べてきたように、みかの宗に対する盲目的な師事は明らかに落ち着いてきているにもかかわらず、宗のために自らの人生を犠牲にするような行為に及んでいるという点。宗以外どうでもよかった(と言ってもたぶん過言ではない)1・2年前に同じ行為に及ぶのとは訳が違う。色々と守らなければいけないものも、考えなければいけないことも増えた中でのこの行為なのである。この先一体どうなってしまうのだろうか。とりあえず一緒に住んだほうがいいかもしれない。

(余談)

「追憶*マリオネット Girls Talk/第二話」より

 嘘を付かないと断言していた頃がもはや眩しい、、、

「名無しの少女/第十話」の謎

 「レゾンデートル 名無しの少女/第十話」は、みかが墓を暴くという犯罪(未遂)を犯した直後の、近隣街でのストーリーである。気になるのは違和感。ストーリーがここまで齟齬なく順調(?)に進んでいたのが信じられないくらい、この1話に何故か集中して違和感が見られるのである。具体的な内容は以下の通り。

謎その1:みかと自分は師弟関係であると言う宗

「名無しの少女/第十話」より
「レゾンデートル 早すぎた埋葬/第六話」より

 これより前のイベントストーリーに加え、同じストーリー内ですら「対等な芸術家」であることに言及しているため、この時点でおそらく意図的な食い違いであると考えられる。

謎その2:呼称の不自然な解釈

「名無しの少女/第十話」より
「モーメント*未来へ進む返礼祭 人間喜劇 Humanity/第七話」より

 返礼祭で、宗は「対等な関係に相応しくないから」と自ら「お師さん」という呼称を否定していた。その点を踏まえると、本エピソードでの指摘は、時間が逆戻りしたようで不自然である。

謎その3:過去の記憶における違和感

「名無しの少女/第十話」より
「モーメント*未来へ進む返礼祭 人間喜劇 エピローグ②」より
「リアクト★マジカルハロウィン マジカルハロウィン OUT SIDER/第四話」より

 不気味なお化けのようなもの(みかのこと)に、服を着せてあげたところまでが今回以前のストーリーでわかっていることで、確かに今回のエピソードと矛盾はないが、宗の中で「お化けのようなものと会話をした」程度の記憶から、「おとぎ話の妖精さんのように道案内をしてくれた」まで飛躍するだろうか。
 他に、本人がいないところで「りゅ~くん」と言っている点も(たぶん)前例がなく、気になる。

まとめ
「名無しの少女/第十話」より
「レゾンデートル 名無しの少女/第九話」より

 最初、この部分も違和感があると思っていたが、これ以前のイベントストーリーを読んでも、確かにみか自身は自分を「芸術家」とは断言していなかった(と思う)。ただ、宗の前でこんな否定をしたのは初めてだし、宗の師弟関係であると断定する発言や、おそらくみかしか覚えていない(か、そもそも実在しない)過去のエピソードを宗が話している違和感も含めて考えると、この1話はみかの見た夢か幻の類いなのではと感じる。それはマッチ売りの少女が見た夢のように甘美で。あるいは、弟子の立場に甘んじていたいという心の奥にしまっていた弱音、贖罪の現れだったかもしれない。それに加え、次の話までは2週間の期間が空いているので、この間に辻褄を合わせるような現実の出来事が起こっていても不思議ではない。
 開花前スチル2枚ともを使用しあえて注目させたこの1話、本当に現実の話ではないとしたら、とんでもないミスリード…!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次